PT日記

【PT日記】コロナ禍の病院事情(患者さん編)

こんにちは!ビカクPTです。コロナ禍の病院事情の後編になります。前編は職員編です。興味がある人は過去の記事を見ていただけると嬉しいです。今回は患者さん編になります。患者さんやそのご家族が抱える問題についてお話ししていきます。下記の内容は世間でまあまあ感染が広がっている時期の話で、落ち着いていた時期は少し規制が緩和されていました。院内のフェーズに応じて職員は対応している形になります。

面会

コロナ禍では面会は原則禁止です。つまり入院の患者さんは家族、友人に会うことができません。スマホを使える患者さんはビデオ通話をしていますが、当院の患者さんは80〜90歳代が多く、スマホは使えません。また認知症や意識障害などはもちろん使えません。

最近、当院ではオンライン面会というものが始まり画面越しに面会することができますが、もちろん画面上なのでなんだか寂しさがあります。なんといっても思い立ってすぐにできるわけではなく、事前予約が必要になります。当然、面会者側もそういった端末を使いこなす必要があり利用数は多くないような印象です。

panoramic shot of doctor touching leg of mature patient

昔はリハビリ室には家族が来られ、リハビリの見学や退院後の相談、介助指導などが頻繁に行われていましたが、今はゼロです。PTとしては患者さん、ご家族に退院後の不安が少ないように支援していきたいところですが、会えないために退院支援が難渋することがあります。動画を活用するなどして介助指導を行いますが理解度が十分だとは思いません。早くこの状況が終わって欲しいものです。

余命が少ない方に関しても同様ですが、状態が悪い方(もうすぐで亡くなってしまうような方)は主治医の判断のもと面会を許可されるケースありますが、フェースシールドをつけないといけなかったり、時間が短かったりと最期をゆっくり見送ることもできません。県外の家族は会えなかったりします。なんだか切なくなります。

院内で感染拡大が起こると多くの患者さんの命が危険にさらされるので、厳密な面会制限をしないといけないことは理解していますが、なんだかな。

家族に会えない患者さんは落ち着かなくなったり、元気がなくなったりします。患者さんの回復への鍵は家族支援であるとつくづく思います。

外出・外泊

外出・外泊は原則禁止です。以前は週末に試験外泊といった形で一時帰宅されることがありました。退院前に一度自宅を経験しておくことで、課題も見え、その課題を帰院後にリハビリで訓練していくことができました。また入院生活にストレスを感じている方もリフレッシュするいい機会となっていました。この機会がなくなったのも残念です。

退院が近くなった患者さんに対し、本人を連れて看護師、リハビリスタッフ、ケアマネジャーなどがご自宅にお邪魔して退院後の生活のアドバイス(住宅改修や福祉用具に購入、レンタルなど)を行う機会がありました。リハビリスタッフはその訪問が、その後リハビリプログラムの参考になっていました。例えば20段の階段があればその練習をしますし、寝具が布団の場合はベッドを進めたり、床から立つ練習を行ったりとアプローチがより具体的になるものでした。ところが現在は訪問ができないため、具体的なリハビリメニューを設定するのが難しかったりします。また、居室に賞状やトロフィーなどが飾ってあったりすると、患者さんの人となりがわかります。患者さんの人生の一端が見えることにより、目標設定がより具体的になったりします。例えば魚拓を飾っている場合は患者さんは釣りが趣味だったことを知ることができて、退院後は船釣りはできなくても、家族と一緒に磯釣りならできるかもしれないと考え提案したりします。釣りをするためには竿を持って、針を投げて、リールを巻いてなど必要な動作とそれに必要な筋力や関節の可動性が必要になります。それらをリハビリしていくことで、退院後の患者さんの生活の質は格段に向上するのではないかと思います。

このように、我々PTにとって自宅への訪問は非常に重要なものでした。また車でドライブ気分にもなりますし、結構楽しくて私は大好きでした。現在は行えていません。

いかがでしたか?コロナによって辛い思いをしているのは入院している患者さんだけではありませんが、少なくとも入院患者さんはたくさんのこと我慢しながら日々リハビリを頑張られています。我々PTはそんな患者さん少しでも笑顔になってもられるように、頑張らないといけないなと思う今日この頃です。ではまた。

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